コラム

社長コラム
2021.06.08
ツバメの季節
閑話休題ロゴ

 みなさまこんにちは。風光社グループ代表の細川です。

 この季節になると、ツバメの姿を見かけることが増えてきました。フィリピンやベトナムなど東南アジアからやって来るツバメたち、彼らは外敵を遠ざけるためにあえて人家や納屋など人工の構造物に巣を作ります。

 お友達の農家には数十年前から代々受け継がれてきた巣がいくつかあり、ツバメの若夫婦が越してきては子育てをして去っていく、というサイクルを1シーズンに2~3回繰り返します。先日お邪魔すると、まさにヒナが巣立つ練習の真っ最中。

つぶらな瞳で見つめながらも「コイツからはエサはもらえそうにない」とばかりに口を閉ざすヒナ(汗)

 彼らのエサは、田んぼに集まるウンカやガなどの小さな虫。調べによると、ヒナは毎日1羽あたり百匹以上の虫を食べるそうで、親はひっきりなしに巣と田んぼを往復します。かつて巣にダニが大量発生した時、ここの親父が素手でヒナをつかみエアガンを使って体についたダニを吹き飛ばしている最中でも、 親鳥は果敢にヒナへ近寄って飛びながら餌を与えていたそうです。ああ、なんて美しい親子愛❤。

引戸の中央上部、ガラスのはまっていないところがツバメの出入口(この季節限定で解放中)。

 そんな彼らの最大の敵はヘビ。対策として巣に〝ヘビ返し〟の板を取り付けて防御していても、奴らは夜に壁や柱を試行錯誤しながらコッソリ忍び寄り、巣にいるヒナを丸呑みします。ある時は3羽のヒナを吞み込んだヘビが、お腹を3か所膨らました状態で土間に佇んでいたとのこと(驚)。

軽自動車の上でくつろぐヒナ。写真では見えませんが、尾が長い(親)か短い(ヒナ)で見分けます。

 数々の苦難を乗り越えて、ようやく巣立ちの日を迎えるヒナたち。しかし、きょうだいの中にはいつまでも飛び出せない甘えん坊が必ずいます。そんな時は親兄弟だけではなく、近所に巣を作った仲間までもが巣の近くの電線に集合し、しきりにヒナに呼びかけて巣立ちを促します。

親鳥からエサをもらいつつ、飛行訓練中のヒナ。

 遥かな南の国から集団で旅をしてくる彼らは、私たちが想像できないくらい固くて強くて温かい仲間意識を持っているみたいです。

エサ(虫たち)の宝庫でもある麦畑。奥には田植えが終わったばかりの水田が。

 農作物に被害を与える虫を捕らえる代わりに、人と同じ建物で暮らすツバメたち。このようなツバメと人が同じ屋根の下で暮らす光景は、秋の気配が訪れる10月頃まで見ることができます。