
みなさまこんにちは。風光社グループ代表の細川です。
ウルトラウォークをご存じでしょうか?おおむね100kmの距離を、昼夜をまたいで制限時間内で歩き通すという、一筋縄ではいかないウォーキングイベントのことです。今回誘われたのは「びわ100ウルトラウォーク」。豊臣秀吉が築城と同時に整備した長浜から、京への水運の終着地である浜大津まで、現代版〝早飛脚〟が挑むのです。普段から夜はソッコーで眠る私にとって、徹夜で歩き通す自信はまったくありません。ですが、行けるところまで行けばいいか、てな具合にポチっとエントリーしました。

当日の天候は晴れ。雨の心配はない、という予報で雨対策はせずに参加したところ、開会式直前に湧き上がる黒い雲、テントをも吹き飛ばす強風、そして横殴りの雨と、まるで前途多難を予言するような天候に見舞われました。この時点で、早くもイヤな予感が漂います。そんな中、午前9時45分になってゼッケン順にスタート。マラソンのようなヒリつく緊張感はなく、ほのぼのとした雰囲気で出発しました。


途中で休憩や補給をするエイドステーションは、10km~20kmの間隔で設置されており、そこでは滋賀県産品が提供されます。これだけの距離を歩く訳ですから、携行品はできるだけ少なくしたい。エイドステーションが充実していると、最小限の補給食でいいという安心感が生まれるのです。ところが、最初の彦根のエイドで出た焼きそばパンは、美味しいものの少々量が足りない。これでは次のエイドまでもたないので、さっそく道中のコンビニへ入ります。するとおにぎりの棚はすでに空っぽ。これが最初の計算違いでした。


それにしても、普段車や自転車で通る道を歩くとなると、景色の移り変わりの遅さに驚きます。車だと1分、自転車でも3分くらいで通過できる1kmに、時速4~5kmで歩くと十数分かかるのです。どんどん日が西に傾き、周囲が暗くなっても思ったより距離が稼げない。しかもこのペースだと、ゴールまで24時間以上かかることが判明。これが二つ目の計算違いでした。


そして深夜、恐れていたことが起こりました。それは雨。想定以上の風に翻弄されていると、突然ポツリ、ポツリと降り出した雨が、勢いを増しながら容赦なく降り注ぐのです。これぞ最大の計算違い。濡れた身体は体温を奪われ、最悪の場合は動けなくなります。頼みの綱は、直前にアウトレットで購入した〝mont-bell〟のウエアの撥水効果。願いが通じたのか、しっかり雨水の侵入をブロックしてくれました。しのつく雨の中、20分ほど歩いて煌々と輝くローソンを見つけた時の喜びは、とても言葉では言い表せません。


夜明けを迎える頃には、コース脇のコンビニや建物の軒下で爆睡する早飛脚たちの姿が増えてきました。何度も眠りそうになりながら、耐えた身体は明るくなると何かが覚醒したのか眠気がない。恐らく脳内にいろんなものが分泌されたのでしょう。残り20km少々なので、ハムストリングスの痛みをこらえつつ、ペースを上げることに。


そして比叡の山並みが近づき、ビルやホテルの高層建築が増えてくると残り1kmの表示が。もうひと踏ん張りとゴールへ向かうと、大勢のボランティアスタッフが満面の笑みと温かい拍手で迎えてくれました。テープを切った瞬間、えも言われぬ感動が全身を貫いたのは言うまでもありません。とにもかくにも、無事にゴールできてよかった。そして感動に包まれたその後、私の頭に浮かんだのはこのひと言でした。
「もう、出ない」。

