コラム

社長コラム
2025.12.08
今年の振り返り
閑話休題ロゴ

 みなさまこんにちは。風光社グループ代表の細川です。

 いよいよ暮れも押し迫ってまいりました。今年を振り返ると思い浮かぶのは大阪・関西万博、そして猛暑、現在も進行中のクマ騒動。それにつけても梅雨がなかった今年は、本当に暑い夏でした。そして暑さが去った後に代わって現れたクマは、私の住む京都市内でも出没を繰り返しております。おお、怖い。

気温は高くとも、晴天が多かったせいか洛北の紅葉は見事に色づきました。しかし、この周辺でもクマが目撃されています。要注意!

 ただ、クマはともかく暑さは悪いことばかりではありません。今年の夏に初挑戦した鮒ずしづくりには、夏の暑さが必要不可欠。その鮒ずしが、ようやく琵琶湖の沖島から送られてきました。発酵を促す乳酸菌は、気温が上がると指数関数的にその数を増やします。その結果、他の雑菌の繁殖を阻み、腐敗を防ぎながら発酵を進める役割を果たすのです。昔の人々が試行錯誤の末に、ようやく食べられるようになった鮒ずし。これまでにいったいどれだけの人が…と、つい余計な事まで想像してしまいます。パックの封を切りって恐る恐る味見してみると、華やかな発酵の香りと柔らかな酸味、深い旨みが口いっぱいに広がる至福のひととき。ああ、しあわせ。

真空パックに入って常温で送られてきた鮒ずし。さらに熟成させるもよし、酸っぱいのが苦手なら冷凍庫へ入れて発酵を止めます。
ご覧の通り、見事に卵が詰まっています。鮒自体も美味ですが、漬け込みに使ったコメだけでもお酒がススムのです。

 そして、少なかった降雨量は楽しみにしていた黒枝豆を大不作に追い込みました。ところが雨が少なく日照時間が長くなると、果物は糖度を増します。おかげで今年の柿は甘いうえに大豊作。弊社の顧問が送ってくれた自家栽培の渋柿を手に取ると、ズシリと重い。さっそく皮をむいて熱湯と焼酎で消毒し、風通しのいいベランダに干すと2週間で干し柿のできあがり。

見事な色・カタチの渋柿。このまま食べても大丈夫に見えますが、かじった瞬間とんでもないしっぺ返しを喰らいます。
弊社の〝干し柿師匠〟が、お手ずから描き上げてくださった指南書。ポイントは「やさしく、気持ちをこめて」。

 夏の日差しをいっぱい浴びて育った渋柿は、糖分と一緒に渋みもたっぷり蓄えます。しかし、皮をむいて干すと渋みのもとであるタンニンが不溶性に変化し、水分(唾液ですね)に溶け出さなくなります。こうすると人の舌は渋みを感じずに、凝縮された上品な甘みだけを楽しむことができるのです。干すことで渋みが揮発すると思い込んでいましたが、違ってました。とんでもなく渋い柿をなんとかして食べようと、昔の人が繰り返した試行錯誤に思いを馳せながら飴色に染まった干し柿をかじります。すると、歯ごたえのある表面とは対照的なトロトロの果実があふれ出し、濃厚な甘さとかすかな太陽の香りが舌と鼻腔を優しく包んでくれます。ああ、ニッポンの秋。

物干し竿へ一斉に吊るされたシブがき隊、いや渋柿たち。2日目にもう一度〝黒霧島〟を噴霧します。ああ、いい香り。
表面は乾燥してゴリゴリですが、中身はつやつやと妖しく輝く〝レア干し柿〟。これは病みつきになります。

 ところが柿の豊作という恵みは、野生動物を人の生活圏に呼び込むことにつながります。そう、柿はクマの大好物。それ以外でも、野生動物による農作物の被害は年々ひどくなっています。そこで少しでもお役に立てれば、と取り組んだのが今年の目標である第一種銃猟免許の取得。これは装薬銃(散弾銃・ライフル銃)と空気銃を使用できる免許で、合格して狩猟登録をすれば猟師の仲間入りができます。試験は知識試験、適性試験、技能試験の三本立て。本当はもっと早くに受験したかったのですが、いろんな事情で年内最後に行われる試験にすべり込むことになりました。

レトロな京都府庁が受験会場、ではなく奥に見える建物で試験を受けます。ここは文化庁の京都移転に伴い建てられました。
弾丸ごとの最大有効射程と最大到達距離を覚えねばなりません。その手前は鳥獣判別のための「単語帳」。カモ類の区別が…。

 知識試験と適正試験、技能試験のひとつである鳥獣の判別は問題なくクリアできましたが、本丸である銃器の操作では見事に落とし穴にはまってしまいました。なにせ、実際に銃器を操作した事前研修は半年も前のこと。それ以降、銃の代わりに酒瓶を使ってトレーニングはしたものの、分解と結合(組立て)の動作は練習のしようがない。YouTubeの視聴による予習の甲斐もなく、試験中に操作ができずに立ち往生。余裕があるはずの制限時間をギリギリまで使ってなんとか終了しました。しかし、いくつか減点対象のミスを犯しいるだけに、なんともビミョーな出来栄えとなりました。合格発表は12/23(火)。果たして、いいクリスマスを迎えることができるでしょうか?

 こんな一抹の不安を抱えつつも、振り返ると今年はいろんなことに挑戦できたいい1年でした。来年は〝奇跡の人〟ことヘレン・ケラー女史のこんな言葉を胸に刻んで、さらなる挑戦を続けて参ります。

「人生とは、果敢な冒険かつまらないものかのいずれかである」

Life is either a daring adventure or nothing.

 では、よいお年を!

池田泉州銀行が仲介し、長年のお付き合いである日本光電工業を巻き込んで実現した、大阪公立大学の学生さんとのワークショップ。これも新たな挑戦のひとつです。