みなさまこんにちは。風光社グループ代表の細川です。
唐突ですが、数字はお好きですか? 最近の若い人は勉強熱心なのでそんなことはないでしょうが、1990(平成2)年に社会に出た人間(私)が一番戸惑い、苦労したのが数字でした。最初のミーティングで資料(表計算ソフトLotus 1-2-3で作られた一覧表)を渡され、左端から順に読み上げろと。表の右上には「単位:百万円」、セルの数字は「12,000」。えーと、単位が百万円だから一番右の数字が百万円。そこから次の桁が千万、で億…と、指折り数え始めたところでタイムアップ。その時の課長の「もうええわ」の音声は、そのまま上書きされず劣化もせず脳細胞の奥深くに刻み込まれております。
そして営業に配属されると、今度はいろんな数字の管理を求められます。事業計画という名の販売計画、商品別計画、得意先別計画に、値引きに伴うリベート計算、どれが分母でどれが分子?のマージン計算。また、当初まったく理解できなかったのが数字の表す規模感。所属する事業部の年間売上高が1000億円といわれても、現ナマで見たこともない「1000億円?なにそれ?」という状態で、量というか規模感がまったく理解できません。これには苦労しました。
こんな状態の解消につながったのは、「数字の規模感を理解するには、比較できる自分なりの基準点を決めること」という先輩のアドバイスでした。具体的には1000億円という数字と、なにかもうひとつ比較対象になる数字を揃えます。例えばその業界の市場規模が4000億円だとしましょう。その金額と自社の1000億円という売上を比較すると、市場規模の1/4がウチの売上ということがわかり、シェアは25%となります。こんな感じで比較しておくと意外に忘れにくい。それ以降、数字を覚える時は比較するものをセットで覚えるようになりました。
営業として担当していた北海道の人口は?と聞かれると当時(1993年)は約566万人。日本の人口が1億2000万人(これは郷ひろみさんのおかげ)とすると、北海道は5%弱の人口と覚えておくと忘れないし、規模もわかります。同じく担当していた仙台市の人口は89万人、札幌市が170万人だったのでその約半分と覚えるのも同様です。
他にもこんな方法があります。例えば琵琶湖の大きさ。日本一大きな湖の周囲は約235kmあります。これだけだと「ふーん」ですが、JR大阪駅から直線距離で235km進むとどこまで行けるか?と調べたら、西は島根の松江や愛媛の今治、東は静岡の大井川、北に上がると石川の金沢。なんとなくその大きさが実感できませんか?ちなみに琵琶湖の面積はおおよそ670平方キロメートル。これもさっぱりイメージが湧きませんが、関西人の〝メートル原器〟こと阪神甲子園球場を基準とするとこうなります。甲子園球場の総面積(グランド・スタンド・その他の合計)は約38,500平方メートル。1平方キロ=1,000,000平方メートルですから、計算すると琵琶湖は甲子園球場17,402個分の大きさ。おわかりになった…でしょう(笑)。
身近にある物をメジャーや物差しを使わずに測るという方法もあります。身体の一部を使って壁や床の寸法を概算で測ったりできると、なんだかその道のプロになった気分に浸れます(個人の意見です)。現場での採寸は厳密にするべきですが、ある程度の目安でよければこれでじゅうぶん。屋外広告業に携わるのであれば、ビルの1階分の高さはおおむね3m(内訳:室内高2.7m+天井・床厚0.3m)と覚えておきましょう。その建物が10階建てなら高さは約30m。もし屋上の屋外広告物の寸法を測るなら、ワンフロア3mを基準にすると概ねわかるようになります。そう、これって屋外広告のプロっぽい(個人の感想です)。
あるドラマでは、主人公がご飯の入った皿を持って「300グラム」「295グラム」…と量をいい当てるシーンがありましたが、そこまでせずとも(というか、できません)数字が使えるとなると、なんだか仕事も生活も楽しくなるような気がしませんか?あくまでも目指すのは「数字に強い」、ではなく「数字が好き」。お仕事にも、生活にも役に立つこんな数字の楽しみ方。他にもあればぜひ教えてください!