みなさまこんにちは。風光社グループ代表の細川です。
〝SDGs〟という言葉が世に出てかなり経ちました。2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際的な開発目標がこのSDGs。17のゴール・169のターゲットから構成された「地球上の誰一人取り残さない(leave no one behind)」を理念とする活動のことです。
…と、さも普段から志の高い取り組みをしているような口調ですが、実は「言葉は知っていても行動は???」という私。そう、言葉は知っていても、そもそも何をすればいいのかわからない。しかし、その悩みを解決する答えが10月に行われた「公共サイン美術展」にありました。兵庫県明石市で63回目の開催となったこの展示会、テーマは「『SDGs未来都市』~みんなで未来へつなごう すべての人が輝けるやさしいまち~SDGs」。かくのごとき長く難しいお題に、果敢に立ち向かったのは弊社の誇る3名の精鋭デザイナー達。
彼らは明石=海のイメージから、開発目標14の「海の豊かさを守ろう」を具体的な取り組みに落とし込むことにしました。そこでオリジナルキャラクタ―のエスディ爺(じい)が、SDGsについてなーんにも知らないタコのカップルに説明するというストーリーを考案。これを歴史ある公共サイン美術展史上(恐らく)初となる、マンガ形式で表現することに挑戦しました。結果、見事に神戸市長賞を受賞!!私のような人間でも「ああ、SDGsってこういうことだったんだ」と一目で理解できる、素晴らしいデザインに感服しました。
そこで思い出したのが、以前にこのコラムで紹介した「タンデムサイクリング」。目の不自由な人と2人乗りのタンデムバイクで走るサイクリングは、視力以外の障害を持つ人でも手軽に楽しむことができます。これぞSDGsの理念である「誰一人取り残さない」を実現できるアクティビティに他ならない!そう考えた私はたこさん同様、「ボクでもできる」を実行することに。
11月の連休に行われた今回のタンデムサイクリングは、〝近畿の水がめ〟琵琶湖を2日かけて走破するガッチリ系のコース。1日目はJR湖西線の近江高島駅から琵琶湖の西側を浜大津まで42km、2日目は瀬田の唐橋を渡って琵琶湖の東側を近江八幡まで53km。2日間とはいえ合計95kmは、そこそこの体力・走力が必要とされる走行距離になります。その本格的なサイクリングに参加したのは、体力自慢のパイロット5名とストーカー(後席に乗る人のこと)5名、他にガイドや撮影係、万一のトラブルに対処する伴走車の運転手を加えた総勢13名。まさに強者(ツワモノ)が勢揃い。
記念撮影を済ませていよいよ出発。今回はロングライドだけに、スムーズなペダリングと適切なペースの維持、休憩が欠かせません。しかも連休で自動車の交通量が多いため、周囲の状況が把握できないストーカーとの密なコミュニケーションと臨機応変なコースマネジメントが必須。それゆえに走行中の脳ミソは常にフル回転状態。
それでも湖岸の風景や紅葉の進み具合、鳥などの生き物の様子を伝えながら走っていると、言い表せない心地よさと連帯感が生まれてきて、どんどん会話が弾みます。2日目はペアを交代して、同じように楽しく琵琶湖を北上。嬉しいことに交通量は前日より少なく、全身で湖岸の秋を満喫するサイクリングとなりました。そして陽が傾く頃、全員が無事にゴールの近江八幡駅へ到着。これにて「誰一人取り残さない」ミッションは完了しました。さすがに疲労困憊ではありますが、「琵琶湖楽しかった」「今度は一周したい」とのお声を頂戴すると、アタマとカラダの疲れが一気に吹き飛びます。むしろ、いろんな気づきと元気をもらったこちらがお礼を言わねばなりません。
もちろんこのようなイベントだけでなく、街で見かけたハンディキャップを持つ人、お年寄りやケガをしている人、妊婦さんやお子様連れといった人々に「お手伝いしましょうか」と声をかけることも、SDGsの理念である「誰一人取り残さない」につながります。こんな温かい声があちらこちらで聞こえるようになれば、いろんな人を街に呼び集めるきっかけになり、私たちの取り扱うメディアはもっと役に立つかもしれません。誰かのためになることは、たとえ小さなことでも続けていきたいものです。
ねえ、エスディ爺。