コラム

社長コラム
2023.10.10
トライアスロン
閑話休題ロゴ

 みなさまこんにちは。風光社グループ代表の細川です。

 突然ですが、私は水泳ができません。もちろんまったくのカナヅチではなく、とりあえず浮くことくらいはできます。が〝息継ぎ〟ができない。つまり息の続く限り泳ぐことができても、呼吸のタイミングで足をついて立ち上がり、顔を水面から確実に露出させなければジ・エンド。それゆえ海や川、湖で遊ぶ時は、常に足が着く場所にいるか、浮き具を使用することが必須なのです。

早朝の琵琶湖大橋から守山方面の風景。真ん中の細長い建物が琵琶湖マリオットホテル。手前はかつて「明るい廃墟」と呼ばれたピエリ守山。
〝アーティスティックスイミングごっこ〟も必ず浅瀬で行います。はるか沖ではオープンウオータースイミングの練習中。

 ところが水泳が苦手と知っているにも関わらず、私にトライアスロンを勧める厄介なお友達がいます。ラテン語の3を意味する「トライ」と、競技を意味する「アスロン」を組み合わせたこのスポーツは、スイム3.8km、バイク(自転車)180km、ラン42.195kmというとんでもない距離でタイムを競うアイアンマン(鉄人)レースや、スイム1.5km、バイク40km、ラン10kmのオリンピックディスタンスなどいくつかの距離設定があります。もちろん興味がないことはないですが(←どっちやねん)いくら入念に準備を重ねても、最初のスイムでリタイアすることが100%わかっているだけに、まったく食指が動きませんでした。

トランジションエリア(バイクに乗り換えたり
、ランニングシューズを履くエリア)には高級バイクが勢揃い。全部でおいくら万円になるのでしょう?
トライアスロンのゴールシーン。時には家族総出でゴールする姿も。

 そんなある日、ボート部のOBで現在同部監督を務めるナカムラ先輩から「10月に琵琶湖で開催される守山トライアスロンは、リレー部門があるから参加しない?」と。大会概要を調べてみると、今回の距離はスイム1.5km、バイク80km、ラン20km。バイクで走るのは琵琶湖沿いのほぼ平坦な周回コース。ヒルクライム(坂登り)好きの私との相性はイマイチですが、贅沢は言ってられません。そう、スイムとラン抜きとはいえトライアスロンの一部分に参戦すれば〝食わず嫌い〟と後ろ指をさされることもない。快諾したと同時に、同じくボート部の後輩のサトー君にスイム担当の白羽の矢を押し付け、チームを編成しました。

以前はラフォーレ琵琶湖だったマリオット。バブルの時代は、併設のプラネタリウムによく足を運んだなあ…。
競技説明会に集まった出場選手。ソロに約700人、リレーは20チームがエントリー。まるでマッチョの品評会のようです。

 予想外の大雨の中迎えた大会当日。元気なサトー君は「30分を目標に戻ります!」とスイムのスタート地点へ。普段市民プールで鍛えている彼は、警備会社に勤めていることもあり時間にはうるさい。あれよれという間に、ほぼ予告通りのタイムで戻って来ました。バトン代わりのアンクルバンドを受け取り、ラン担当のナカムラ監督へ「2時間半を目標に戻ります!」と宣言してスタート。

前半20kmは琵琶湖岸、残りは田んぼと野洲川沿いのコースを3周回。自称ヒルクライマーには厳しいコースです。ああ、登り坂が欲しい。
水深が浅過ぎるたため、水中スタートとなったスイム。もはやサトー君の姿は識別不能に。

 ところが、走り出すと雨は止むどころかどんどん強くなる。痛いくらいの雨粒と前を走るバイクが巻き上げる大量のしぶきが、全身を容赦なく襲うため視界は悪い、ブレーキは利かない、脚は冷えて回らないの三重苦。ストレートが基本とはいえ、極端に狭い部分やきついコーナーがふんだんに散りばめられた周回コースでは、一瞬の判断ミスがトラブルに直結します。攻めた走りで転倒しては元も子もないので、安全運転を心がけることにしました。

大雨の中、守山市のPRキャラクター「もーりー」も足を運んでくれました。2014年総合ゆるキャラランキング737位という実力?の持ち主。
受付と同時に選手であることを証明するタグが装着されます。レース終了まで剥がしちゃダメ、とのこと。なんだか入院患者の気分。

 後半に入ると、雨が弱まったおかげで身体が温まり筋肉とやる気がみるみる活性化。ペースアップして少しずつ順位を上げていきます。が、周囲のほとんどはソロでエントリーしている選手たちで、バイクのみ参加の私とでは背負っているものが違います。なんとなく後ろめたい気分で競り合っていると、いつの間にやらオーバーペース。結局バテバテ状態でフィニッシュし、アンクルバンドをアンカーのナカムラ監督へ委ねます。

スタート前、あまり意味のない準備運動に勤(いそ)しむサトー君。東京オリンピックでは賓客の用心棒としても活躍。
湖岸を疾走するナカムラ監督(中央)。第50回全日本大学ローイング選手権女子4+の6連覇達成、おめでとうございます!

 この頃には雨は上がり、薄日もさす絶好のコンディション。フルマラソン50回以上の出場で、すべてサブフォー(4時間以内のタイム)を達成している監督の走りは凄まじく、あっという間に視界から消え去ります。その後も余裕の表情で周回を重ねつつ、20kmを走り切って軽やかにゴールイン。発表されたリザルトによると、リレー部門の20チーム中なんと8位。8位までが入賞なので、初参加としては上々の結果でした。

バイクのラップタイムは2時間29分29秒!目標の2時間半をギリ達成できました。80km走って平均速度は32.1km/h。後半バテなければもう5分はタイムを短縮でき、順位も「キャッツ?アイ」を抜いて6位に…。ああ、捕らぬ狸の皮算用。

 とはいえバイクパートだけの参加なのに、3種目をこなすソロの選手にぶち抜かれまくった今回の経験はまさに黒歴史。でもリベンジしますか、と言われるとバイクだけで勝負するのは何か違う。どうせなら同じ条件、つまり3種目で挑戦すべきでしょう…などと考え出すと、肝心なことを思い出しました。そう、トライアスロンに誘われたらまずこう伝えねば。

 「私、水泳できないので」

三人揃って万歳ゴール\(^_^)/。 ただしゴール前で伴走するには事前に係員への申請が必要です。そう、規則に始まり規則で終わる、これがトライアスロン。