みなさまこんにちは。風光社グループ代表の細川です。
最近知った新しい言葉のひとつが「サードプレイス」。ある研修で「事業の再定義」という言葉を学んだ時、紹介されたのがスターバックスコーヒージャパン(以下スタバ)の事例。講師によると「スタバの事業は、コーヒーの販売ではなくて第三の場所(サードプレイス)の提供です」とのこと。まったく初耳だったのでサードプレイス何それ?状態でしたが、自宅はファーストプレイス、職場はセカンドプレイス、そしてそれ以外の立ち寄り先がサードプレイスと聞いてフムフムと納得しました。
では自分にとってのサードプレイスはどこか?と考えるにあたり、まずは定義を知らねばと思いグーグル先生ならぬ〝Chat GPT〟で教えを乞うことに。最初はいきなりボケをかましてくれましたが、聞き方を若干変えるとちゃんと答えてくれました。「サードプレイスは地域社会やコミュニティの中で重要な場所として位置付けられる」。となると、これはもうご近所さんとの交流の場でしょう。
最近の交流の場は、というと8月19日に行われた地蔵盆。え、地蔵盆をご存じない?これは、子どもの守り神でもある街角や道端のお地蔵様=地蔵菩薩を供養し、地域の子どもの健やかな成長を祈る行事です。諸説ありますが京都が発祥といわれ、近畿地方を中心に各地域で行われています。面白いのは長野県の善光寺や長崎県の対馬、宮城県の気仙沼など、かつて都とのつながりが強かった地方にこの地蔵信仰が伝播していること。交通が不便な時代であっても、昔の人々は盛んに交流していたのですね。
さてこの地蔵盆の行事、成功するか否かはすべて事前の準備にかかってきます。しかも今年は4年ぶりの本格開催。段取りも含めて昔の書類を漁り、町内の子どもや外孫さんの人数と年齢を把握し、景品のお菓子を揃え、子どもたちのための行事にも関わらず一番盛り上がる大人の抽選会の仕込みなど、お世話役はメロスの如く走り回らねばなりません。しかも物価高の影響でやりくりがホント厳しい。こうなるとみな考えることは同じで、ディスカウントストアはもうとんでもない大混雑。なんせ市内のほぼすべての町内がこの時期に地蔵盆の準備の取りかかるため、店内はもう上を下への大騒ぎ。
当日は町内総出でお地蔵さんの〝おやど〟(設置場所となる家屋)のセッティング。垂れ幕や提灯、お供えなどを定められた手順で用意するのですが、まあ4年前の記憶の曖昧なこと。あれやこれやと1時間以上かけて準備が整ったら、街角の祠(ほこら)からお地蔵さんをおやどへ注意深く搬送します。ウチの町内の祠は路地裏の目立たない場所にあるにも関わらず、お賽銭箱を覗くと結構な金額の浄財が。ありがたく町内会の会計に計上させていただきます。
準備が整ったら、子どもたちが鐘を鳴らしながら町内を練り歩きます。この鐘の音が町内に響きわたると、老若男女が集まり始めて地蔵盆の行事がスタート。前回の開催から4年が経つと、さすがに子どもたちの顔ぶれも変わります。そう考えると子どもたちにとっての1年は貴重ですね。参加できるのは未就学児童から小学6年生まで。今年は15名の参加でしたが、あらためて子どもの成長スピードの早さに驚きます。まあ、対照的に私も含めて一定以上のお歳の方はほぼ変わっていない、という現実にも直面しますが(笑)。こんな感じで地域の善男善女が集い交流する地蔵盆。これをサードプレイスと言わずしてなんと言いましょう。
「社会的な孤立を減少させ、コミュニティ全体のつながりを促進する」サードプレイス。これを地で行く町内会の行事は、これからも大事にしたいものです。とはいえ、この日も最高気温が37.5度の猛暑日。歴史ある行事も、異常気象の続く現代では開催時期を考えねばならないのかも。少なくともサードプレイスは、健康を害する場所ではないはずなので。それにしてもこの日は暑かったー。