コラム

社長コラム
2023.06.20
北陸と全国大会と線状降水帯
閑話休題ロゴ

 みなさまこんにちは。風光社グループ代表の細川です。

 〝北陸〟という言葉を聞くと、連想するのは透き通るような水と白砂青松の砂浜、もしくはみぞれ混じりの季節風が容赦なく吹きつける海岸線、また荒波に揉まれた旨い魚、さらに清冽な水が育むコメやお酒。これらの映像がアタマの中で再生され、激しく心がときめきます。

輪島にある白米千枚田。これぞ北陸、日本海という風景。
クルマも走れる千里浜なぎさドライブウェイ。真冬はココロもカラダも凍ります。

 以前は大阪駅から北陸を経由して、東北や北海道を結ぶ長距離の特急列車が数多く走っていました。青森まで行く特急「白鳥」、函館まで行く寝台特急「日本海」、札幌までのロングランだった「トワイライトエクスプレス」。これらの列車が出発する一番北側のホームは、「北へ旅立つ」気配というか雰囲気が濃厚に漂っていたものです。現在では「サンダーバード」の金沢行が最も遠くへ行く特急になりましたが、11番のりばにこの列車のアナウンスが響くと、猛烈に北の果てへ逃げたくなります(笑)。とはいえ、もともと大阪から富山まで片道326kmを走っていたサンダーバードは、来年3月の北陸新幹線の敦賀延伸を機に敦賀までの156kmと、運転区間が半分以下に短縮されることが決まっています。

これは京都駅0番線の行先表示機。実際は激しく明滅を繰り返しているLEDの文字は、カメラのシャッター速度を遅くしないとまともに映りません。
関西と北陸を直結する特急「サンダーバード」。北アルプスなどに生息する可愛らしいライチョウに由来する愛称ですが、コッチは目つきがコワイです。

 そんな北陸へ6月初旬に出張することになりました。目的は「日広連全国大会 in 北陸・石川2023」。そう、私達の業界団体である「日本屋外広告業団体連合会」の一大イベントが金沢で開催されました。この日本屋外広告…を略した日広連は、「看板や広告板、ネオンサインなどの屋内外広告物の製作掲出に携わる企業によって、都道府県ごとに組織された団体を正会員とする一般社団法人」であります(日広連HPより抜粋)。都道府県ごとに組織された団体とは、大阪の場合は「大阪屋外広告美術協同組合」という舌を噛みそうな名前の組織(略称は大広協)のこと。つまり、全国46の都道府県にこのような傘下組織を持つ日広連は、加入法人3,129事業所(2023年6月現在)を誇るとても大きな組織なのです。

昼食はやはりお寿司。回転寿司で関西に出店していないお店、という同行者リクエストにお応えして「回る富山湾 すし玉」さんへGo!
ん、富山?
甘エビもつぶ貝もノドグロもカンパチも。
昆布だしに付け込んだガリも含めて、すべておいしゅうございました。

 今回は4年ぶりの開催ということもあり、全国から総勢452名が石川県金沢市に集結。3日間にわたる会期中は地元への経済波及効果も大きいため、石川県知事の馳浩氏や金沢市長の村山卓氏など地元のVIPも駆けつける盛大な大会になりました。初日はホテルでイベントと懇親会、2日目と3日目は各グループに分かれての観光と至れり尽くせり。ところが、落とし穴はどこにでも存在するものです。沖縄付近にやってきた台風2号と、本州付近を覆う梅雨前線によって発生した線状降水帯が、2日目に北陸にも襲ってきました。

500人近くが文字通り一堂に会した65回目の開催となる全国大会の本会場。完全にコロナ前の景色が復活しました。平均年齢はやや高め。
開会式では国家のあと、「日広連の歌」を全員で斉唱します。~国土美観の 旗あげて~♬ 身が引き締まる思いです。

 一夜明けた6月2日の金曜日。もともとその日は弊社の周年行事があり、私は朝一番で帰阪予定。昨夜から降り出した雨と割合強い風の中、金沢駅に向かうと駅の構内には午後からの運休を予告するアナウンスと貼り紙、そしてまだ開いていないみどりの窓口に並ぶ人々の長い列。こんな状況で私にできることはただひとつ。この日の観光に参加して夕方に大阪へ帰る大広協の皆さんへ、注意喚起として運休を告げるポスターの写真をグループLINEへアップすること。皆さんの身の上を案じつつ、ささっと写真とコメントを送ってミッションコンプリート。

この予報ではもう帰るしかないでしょう☔。
それにしても天気予報、当たる確率が高くなりました。
間違いなく大雨が降ります。早めに帰るか、延泊するか?決断力が問われます。私にとっては人ごとですがね。

 さすがに満席のサンダーバードで、田植えが終わったばかりの水田や大雨で濁流渦巻くいくつかの河川を越え、敦賀に向かって最後になるであろう在来線の旅をゆっくり楽しみます。新幹線の延伸後は途中の敦賀で乗り換えを強いられるため、関西人にとっては北陸が遠くなるように感じるかもしれません。個人的には北陸新幹線が東京から金沢まで開業してから、石川県が首都圏に取り込まれたような喪失感を味わっているだけに、福井県もそうならないことを祈るばかりです。さらに大阪駅11番のりばのアナウンスから「金沢」という言葉が消えるのは、北陸好きの私としてはなんだか寂しいものです。

2011年にアメリカ「トラベル&レジャー」誌Web版で、世界で最も美しい駅14選の6位に選出された金沢駅。凛とたたずむ「鼓門(つづみもん)」とドームが印象的。
食堂街が営業時間外なので、立ち食いそば屋で腹ごしらえ。〝白エビかき揚げ蕎麦〟は濃い目のダシと、かき揚げからにじみ出る白エビの上品な甘みが絶品!

 ちなみにこの日に帰る予定だった観光組の皆さんは、全員午前中の列車に振り替えて無事に戻って来られました。よかったヨカッタ。