みなさまこんにちは。風光社グループ代表の細川です。
京都盆地の北西に位置する標高924mの愛宕山。山頂にある愛宕神社は全国に約900社を数える愛宕神社の総本社であり、古くから火伏・防火に霊験のある神社として知られています。NHK大河ドラマ「麒麟がくる」でも、本能寺の変の直前に愛宕神社へ参拝する明智光秀の姿があったので、ご存じの方も多いのではないでしょうか。
この愛宕神社では、毎年7月31日の夜から8月1日の朝にかけて参拝する「千日詣」が行われます。この日に参拝すると千日分の火伏・防火のご利益と、3歳までの子どもが参れば一生火の厄災に遭わないとの言い伝えがあり、毎年大勢の人が訪れます。ただ、今年は「密」を避けるために期間を7月23日から8月1日に延長し、昨年と同じく昼間のみの参拝へ変更されました。「密を避けられるのであれば…」とヒマを持て余していた私は、コロナの早期退散と弊社社員の健康祈願を兼ねて、体力自慢のお友達と登ることにしました。
夜間は麓から山頂まで明かり(裸電球)が灯され、大勢の人が影絵のように「おのぼりやす」「おくだりやす」と声を掛けあう幻想的な雰囲気を醸し出す参道なのですが、早朝だと人影もまばら。それゆえ、体力自慢のお友達ははやる気持ちを抑え切れずどんどんスピードアップ。結局、ランニングに近いペースで登ることを余儀なくされました。約4kmの山道はほとんどが階段状になっていて傾斜もきつく、朝から気温30度を超える酷暑、さらには前夜の雨で活性化した虫たちが飛び交う三重苦。それでも山頂の総本社の空気は凛として厳かで、思わず怠惰な身が引き締まることに。
疫病退散とみんなの健康を祈願したあと、帰りは参道を外れて違うルートへ。こちらを行くと、日本における念仏信仰の祖である空也上人が修行の場とした「空也の滝」があり、煩悩まみれの我々の身を清めるにはもってこい。落差15mで水量も豊富なこの滝では、ちょうど近くにお住いの信者さんたちが祠のお掃除中。無断で入るのもなあ、と思い「滝に打たれもいいでしょうか?」とお断りしたところ、「ほな(アンタら不浄やし)清めてあげるしこっちおいで」と、なぜかお尻を中心に全身をしっかりお塩で清めてくださりました。
いざ、ということで滝に打たれてみると、あまりの水の勢いと冷たさにビックリ。しかも顔面がほぼ水没状態になるので、なるべく後頭部で水を受けて呼吸する空間を確保しようとすると、こんどは水圧に押されて首が痛くなる始末。結局1分も我慢できない甘々の「滝行」となってしまいました。こんなことでは煩悩なぞまったく払えそうにありません。 塩で清めてくださったおばあさんにお聞きすると、毎月1回、真夏はもちろん真冬にも滝に打たれに来るとのこと。皆さん結構なお年とお見受けしましたが、すこぶるお元気な様子。あらためてこの滝の確かなご利益と、それを享受するためのハードルの高さを実感しました。
滝行のあとは足取りも軽くスタート地点の登山口へ。滝の水でカラダが冷えたのか、汗もかかずすっきりとした気分で千日詣を終えました。
京都市内から1時間足らずの場所でありながら、自然を満喫しつつハイキングやお参り、滝行も体験できる愛宕山。比叡山と並んで私が大好きな山のひとつでもあります。ご興味のある健脚家の方はぜひ過酷な登山にチャレンジしてみてください。もちろん標高1000m近い山なので、きちんとした装備と安全への備えはお忘れなく。